質疑応答
8.00 投手
捕手のサインを見る
1【問】 投手が投手板に触れないでサインを見た。差し支えないか。
【答】 投手は投手板に触れてサインを見なければならない。(8.01)
2【問】 投手が軸足を投手板に触れ、自由な足を投手板より後方に置いて、両手を合わせてサインを見た。差し支えないか。
【答】 差し支えない。(8.01関連)
3【問】 投手がサインを見終わってから、軸足を投手板の後方にはずした。差し支えないか。
【答】 差し支えないが、サインを見終わるたびにはずすことは許されない。なお、投手板をはずしたら必ず両手を身体の両側に下ろさなければならない。(8.01原注)
投球姿勢
4【問】 投手は、どのような投球姿勢をとって打者に投球しなければならないか。
【答】 ワインドアップポジション、またはセットポジションの投球姿勢のうちどちらかで打者に投球しなければならない。どちらの投球姿勢をとるかは投手の自由である。(8.01)
5【問】 二つの投球姿勢の違いは何か。
【答】 ワインドアップポジション──軸足を投手板に触れ、他の足の置き場所には制限はない。(8.01a)
セットポジション──軸足を投手板に触れ、自由な足を投手板より前方に置き、ボールを両手で保持し完全に動作を静止する。(8.01b)
6【問】 投手は正規の投球姿勢をとるとき、軸足は投手板に触れて置きさえすればよいか。
【答】 ワインドアップポジションの場合でも、セットポジションの場合でも、投手は打者に面して立ち、軸足は投手板の上に置くか、投手板に触れて置かなければならない。(8.01a、b、投球姿勢の図参照)
7【問】 三塁に走者のいるとき明らかにワインドアップポジションをとった投手が、投手板に触れたまま自由な足を投手板より前方に移してセットポジションをとった。差し支えないか。
【答】 ボークとなる。三塁走者には本塁が与えられる。(8.01a原注2B)
8【問】 投手がセットポジションをとるにはどのようにしたらよいか。
【答】 片方の手を下に下ろして身体の横につけた姿勢から、中断することなく一連の動作で(1)ボールを両手で身体の前方で保持し、(2)完全に動作を静止しなければならない。この静止した姿勢からでなければ打者に投球することができない。(8.01b後段)
9【問】 前問で、セットポジションをとるとき、ストレッチをしなければならないか。
【答】 必ずしもストレッチをする必要はない。しかし、1度ストレッチをしたら、打者に投球する前に、必ずセットポジションを完成しなければならない。つまりストレッチに引き続いてボールを両手で身体の前方で保持し、動作を完全に静止する。(8.01b後段)
10【問】 セットポジションの姿勢をとった投手がストレッチを中断した。差し支えないか。
【答】 走者のいるときはボークとなる。ただしストレッチの途中から塁の方向に踏み出して送球することは差し支えない。(8.01b後段、8.01c)
11【問】 投手がセットポジションをとるとき、身体の前面なら、どこでボールを両手で保持してもよいか。
【答】 身体の前面ならどこで両手を合わせてもよい。しかしいったん保持して止めたら、その止めた個所を移動させてはならない。(8.01b、注3)
12【問】 走者のいるとき、投手がセットポジションで静止してから肩を動かした。どう判定されるか。
【答】 ボークとなる。静止してからは首以外は動かしてはならない。(8.01b、注3)
投球動作
13【問】 投手が振りかぶりながら投手板に触れて打者に投球した。差し支えないか。
【答】 反則投球となる。ワインドアップポジションでは、軸足を正しく投手板に触れてから投球に関連する動作を起こさなければならない。投手が投手板に触れないで投球に関連する動作をすれば、走者のいるときはボークとなる。(8.05g、2.38注)
14【問】 走者三塁、投手が自由な足を止め、三塁走者を見てから打者に投球した。差し支えないか。
【答】 投球動作を1時停止したので、ボークが宣告される。(8.01bA、注2、2.38注)
15【問】 ワインドアップポジションで投球する投手が、自由な足を1歩後方に引いて、さらに投手板の前方に踏み出して打者に投球した。差し支えないか。
【答】 ワインドアップポジションで投球する場合は、自由な足をいったん引いてさらに踏み出すことは許される。(8.01aA)
16【問】 投手が走者を見ながら、打者を見ないで投球した。どう判定されるか。
【答】 ボークが宣告される。投手は打者に正対(顔を打者に向ける)してから投球しなければならない。(8.05f)
17【問】 走者三塁、投手がワインドアップポジションして投球しようとしたとき、足がもつれて投球できなかった。ボークになるか。
【答】 投手が投球に関連する動作を起こしてから、投球を中止したことになりボークとなる。(8.05a)
18【問】 走者三塁、投手がワインドアップを始めたとき、打者が急に打撃姿勢をやめたので投球を中止した。ボークが宣告されるか。
【答】 審判員はボークを宣告してはならない。球審はタイムをかけて、出発点≠ゥらやり直させる。なお、打者が打撃姿勢をやめても投球した場合は、正規にカウントする。(6.02b原注)
19【問】 走者一塁、投手が投球動作を始めたとき、攻撃側のベンチから大声でタイム≠ニ叫んだので投球を中止した。ボークになるか。
【答】 球審は、ボークとしないでタイム≠かけ、攻撃側のベンチに警告を与える。警告したにもかかわらず違反を繰り返した場合は、その違反者を退場させる。(4.06a(3)、ペナルティ)
投 球
20【問】 投手がいったん軸足を投手板からはずし、すぐ投手板に触れて投球した。差し支えないか。
【答】 クイックピッチで反則投球となる。クイックピッチは危険であるから審判員は、このような行為は許してはならない。(8.01原注、8.05e原注)
21【問】 走者のいないとき、捕手からの返球を受けた投手が、12秒を経過したが投球しなかった。どう処置されるか。
【答】 塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後、バッタース・ボックス内の打者が投手に面したときから、12秒以内に打者に投球しなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する。ただし、走者のいるときは、このペナルティはない。(8.04)
22【問】 投手が投球し損じてボールが転々とした。どう判定されるか。
【答】 投球がファウルラインを越えたら投球としてボールが宣告される。ファウルラインを越えなければ投球とはみなされない。走者のいるときは、ボールが投手の手から落ちたときボークが宣告される。(8.01d、原注、8.05k)
23【問】 投手が投手板に触れているとき偶然落球した。どう処置されるか。
【答】 走者がいるときは、故意、偶然を問わずボークが宣告される。(8.05k)
軸足を投手板からはずす
24【問】 投手は軸足を、いつ、投手板からはずしたらよいか。
【答】 投球に関する動作を起こす前なら、いつでも、軸足を投手板からはずしてもよい。(8.01a原注2B,b@注5)
25【問】 走者のいるとき、投手が軸足を投手板より後方にはずして塁に送球した。差し支えないか。
【答】 差し支えない。軸足を投手板の後方にはずした場合は、内野手とみなされるから塁に送球しても、投げるまねをしても差し支えない。ただし、軸足を投手板の横または投手板より前方にはずした場合はボークとなる。(8.01b@、注5)
26【問】 走者のいるとき、投手板上で両手を合わせた投手が、両手を離してから軸足を投手板より後方にはずした。差し支えないか。
【答】 両手を合わせた投手が投手板上でボールから一方の手を離せば、ボークとなる。軸足をはずす場合は、両手を合わせたまま投手板の後方にはずさなければならない。(8.01b注6,8.05j)
27【問】 両手を合わせたまま軸足を投手板の後方にはずした投手が、両手を合わせたまま再び投手板に触れた。差し支えないか。
【答】 ボークとなる。軸足を投手板の後方にはずしたら、必ず両手を離して身体の両側に下ろさなければならない。(8.01原注、a原注2B、b注6)
塁への送球
28【問】 走者のいるとき、投手は軸足を投手板に触れたまま塁へ送球してもよいか。
【答】 ワインドアップポジションでも、セットポジションでも、投球に関連する動作を起こす前なら、投手板に触れたまま、走者のいる塁に送球しても差し支えない。しかし、走者のいない塁へは送球することも、投げるまねをすることも許されない。違反すればボークとなる。(8.01c、8.05d)
29【問】 走者満塁、ワインドアップポジションをとった右投手が、ボールを両手で身体の前方に保持し一塁に踏み出して送球した。差し支えないか。
【答】 単にボールを両手で身体の前方に保持しただけの場合は差し支えないが、審判員が投球に関連する動作でボールを保持したと認めた場合は、投球の中止でボークとなる。(8.01a原注2A、注2、8.05a)
30【問】 前問で、投球動作と関連なく単にボールを保持しただけの右投手が、三塁へ踏み出して送球した。差し支えないか。
【答】 左投手が一塁、右投手が三塁へ送球することは、投球に関連した足の動きをして塁に送球したとみなされるため、ボークとなる。(8.01a、原注2A、アマチュア野球内規I)
31【問】 投手板に触れている投手が、自由な足を踏み出さないで塁に送球した。差し支えないか。
【答】 ボークとなる。投手板に触れている投手が塁へ送球するときは、自由な足を必ずその塁の方向へ直接踏み出さなければならない。(8.01c、8.05c)
32【問】 投手板に触れている投手が、塁に送球してからその塁の方向へ踏み出した。差し支えないか。
【答】 ボークとなる。自由な足を直接その塁の方向へ踏み出してから送球しなければならない。(8.01c原注、8.05c)
33【問】 投手板に触れている投手が、自由な足を上げただけで元の位置に下ろして塁へ送球した。差し支えないか。
【答】 塁の方向へ踏み出したことにならないから、ボークとなる。(8.01c原注、8.05c原注)
34【問】 走者一塁、右投手が、軸足を投手板上で踏み替えて一塁へ送球した。差し支えないか。
【答】 軸足の踏み替えと、送球が一挙動の場合は差し支えない。しかし、軸足を踏み換えた後に一塁へ送球した場合はボークとなる。(8.01c注)
35【問】 走者一塁、投手板に触れている左投手の自由な足が投手板の後縁を越えて一塁へ送球した。ボークとなるか。
【答】 ボークとなる。自由な足が投手板の後縁を越えれば(自由な足が軸足と交差したら)、打者に投球しなれればならないから、一塁へ送球すれば投球を中止したことになる。(8.05a原注)
36【問】 投手板に触れている投手が走者のいる塁の方向へ踏み出したら、必ずその塁へ送球しなければならないか。
【答】 一塁と三塁へは必ず送球しなければならない。一塁と三塁への送球を中止すればボークとなる。二塁へは直接ステップすれば偽投は許される。(8.05b注)
37【問】 走者一塁、投手板に触れて両手を合わせている投手が、上体を先に回してから踏み出して一塁へ送球した。差し支えないか。
【答】 上体を先に回してから踏み出せば、ボークとなる。(8.05c原注)
38【問】 投手が一塁を見たとき、一塁走者が二盗したので、投手板に触れたままぐるりと回って二塁へ送球した。差し支えないか。
【答】 差し支えない。二塁への送球は、必要なプレイのための送球であるから、例え一塁走者が途中から一塁へ戻っても、走者のいない塁へ送球したことにはならない。(8.05d問答)
39【問】 投手が二塁へ踏み出して投げようとしたとき二塁走者が三塁へ走ったので、投手板についたまま三塁へ踏み出して送球した。差し支えないか。
【答】 三塁への送球は必要なプレイのための送球であるから、差し支えない。(8.05d関連)
投手の特例
40【問】 投手板に触れている投手が、一塁に送球したが悪送球となってスタンドに入った。どう処置されるか。
【答】 走者に1個の塁が与えられる。ただし、一塁手を通過して再び野手に触れてボールデッドの個所に入った場合は、投手が投球当時占有していた塁を基準として、走者に2個の塁が与えられる。(7.05h、付記)
41【問】 投手が軸足を投手板の横にはずしたのでボークが宣告され、直後の一塁送球が悪送球となってスタンドに入ったどう処置されるか。
【答】 ボークで、走者に1個の塁が与えられる。(7.05h関連)
42【問】 投手が軸足を投手板より後方にはずして一塁に送球したが、悪送球となってスタンドに入った。どう処置されるか。
【答】 走者に2個の塁が与えられる。投手が軸足を投手板より後方にはずせば内野手とみなされるから、投手の特例は認められない。(8.01e原注、7.05g)
43【問】 投手の打者への投球を捕手が後逸して、ボールがベンチに入った。どう処置されるか。
【答】 走者に1個の塁が与えられる。したがって打者の四球目、または三振目の投球だった場合でも、打者には一塁が与えられるだけである。しかし、投球が捕手を通過して、捕手または他の野手に再び触れてボールデッドの個所に入った場合は、投手の投球当時占有していた塁を基準として走者に2個の塁が与えられる。(7.05h、付記、7.05i)
投球がマスクに挟まる
44【問】 投球が球審または捕手のマスクに挟まった場合はどう処理されるか。
【答】 ボールデッドとなり、走者は1個の塁が与えられる。四球目の投球がマスクに挟まった場合は、打者に一塁が与えられる。また、三振目の投球の場合も打者に一塁が与えられる。しかし、0アウトまたは1アウトで走者一塁(一・二塁、一・三塁、満塁も同じ)の場合は、自動的に三振アウトとなる。(7.05i、6.05c注)
投手の禁止事項
45【問】 投手板の近くで、投手が投球する方の手に唾液をつけた。差し支えないか。
【答】 差し支えない。「軟式野球」では、手を口につけることや、ボールまたはグラブに唾液をつけること、ボールをグラブ、ユニフォームなどでこすることは特に影響がないので許されている。(8.02a関連、競技に関する連盟特別規則(各大会共通)7)
46【問】 投手がボールに異物をつけて投球した。どう処置されるか。
【答】 「連盟」では、ペナルティを採用しないで、投手にその都度警告を発し、ボールを交換させる。なお、このような行為が繰り返された場合はその投手を試合から除く。また、ボールに異物をつけることのほか、どんな方法であってもボールに傷をつけることも禁止されている。(8.02a(4)、(5)、競技に関する連盟特別規則(各大会共通)7)
47【問】 投手が打者を狙って投球した。どう処置されるか。
【答】 球審が、打者を狙って投球したと認めたときは、投手と守備側の監督にこのような投球を繰り返したときは、投手を退場させる旨の警告を発し、このような投球が繰り返された場合はその投手を試合から除く。なお、同時に攻撃側の監督にも警告しておく。(8.02d)
48【問】 塁に走者がいないとき、打者が打者席に入っているのに、投手が捕手以外の野手に送球した。どう処置されるか。
【答】 捕手以外の野手に送球することは許されない。その投手に警告を発し、なお、このような行為が繰り返された場合は遅延行為としてボールを宣告する。(8.02c注2)
49【問】 走者がいるとき投手が軸足を投手板より後方にはずして、走者のいない塁へ送球した。差し支えないか。
【答】 例え軸足をはずしても、走者のいない塁はもとより塁に入ろうとしない野手に送球した場合は、遅延行為とみなしボークを課す。ただし、審判員がその送球を必要なプレイと認めれば遅延行為としない。(8.02c、8.05d、8.05h、規則適用上の解釈(10)、アマチュア野球内規K)
投手の準備投球数
50【問】 投手は各回の始め、何球くらい準備投球が許されるか。
【答】 投手は各回の始め、8球以内(1分間以内に限る)の投球が許される。
なお、救援投手は救援したとき、8球以内(1分間以内に限る)の投球が許されるが、突発事故でウォームアップなしで救援した場合は、必要と思われる数の投球が許される。
「連盟」では、2回以後の準備投球数を4球以内としているが、季節または状況によって考慮することが望ましいと定められている。(8.03、試合のスピード化に関する事項2)
投手の交代
51【問】 投手は、いつ、交代できるのか。
【答】 ボールデッド中なら、いつでも交代が許される。しかし、先発投手及び救援投手には投球義務の規定があり、その投球義務が終了するまで交代は許されない。しかし、病気、負傷などで投球が不可能になったと球審が認めた場合に限り、投球義務が終了していなくても交代が許される。(3.03、3.05a、b)
52【問】 1回の表、投手が第1打者に3球続けてボールを投げたので、守備側の監督が投手の交代を申し出た。許されるか。
【答】 交代は許されない。先発投手は、第1打者またはその代打者がアウトになるか、または一塁に達するまで投球する義務がある。その義務が終了してから交代させなければならない。(3.05a)
53【問】 救援投手が出て打者に1球投げたとき、代打者が出たので守備側の監督が投手の交代を申し出た。許されるか。
【答】 交代は許されない。救援投手は、そのときの打者または代打者がアウトになるか、または一塁に達するか、あるいは塁上の走者をアウトにして攻守交代になるまで投球する義務があるから、その義務が終了するまで交代は許されない。(3.05b、c)
54問】 2アウト満塁、救援投手が出て、打者に投球する前に一塁に送球して、一塁走者をアウトにし、攻守交代となった。次の回その救援投手は続投しなければならないか。
【答】 続投しなくてもよい。その救援投手は打者に1球も投げてはいないが、攻守が交代になれば投球義務がなくなる。(3.05b)
55【問】 救援投手が出て、打者に1球も投げないうちに、急に降雨が激しくなって試合が1時中断されたが、天候が回復して試合が再開されたとき違う投手が登板した。どう処置されるか。
【答】 投球義務の終了しない救援投手は、続行試合に登板しなければならない。球審は、新しく出てきた投手を退けて、正規の投手を試合に戻し、その義務が終了するまで投球させなければならない。しかし、万一球審が気付かないままに新しく出てきた投手が打者に1球投げた場合は、投手の交代は正当化される。(3.05b、c原注)
56【問】 前問で、試合が中止となって特別継続試合になった場合、その特別継続試合には、投球義務の終了してない救援投手は、先発しなければならないか。
【答】 その日のうちに引き続き試合を行う場合は、先発しなければならない。日を改めて試合を行う場合は、先発しなくても良い。しかし、特別継続試合に出場しない選手は他の選手と交代したものと見なされる。(4.12c原注関連)
反則投球
57【問】 走者のいないとき、投手が反則投球した場合はどう処置されるか。
【答】 投球にボールが宣告される。球審は、投手に反則投球である旨を指摘する。(8.01d注、2.38)
58【問】 走者のいないとき、打者が反則投球を打って、安打、失策などで一塁に生きた場合は、どうなるか。
【答】 反則投球は消滅し、プレイはそのまま続けられる。(8.01d)
59【問】 走者がいないとき、反則投球が避けた打者に触れた場合はどうなるか。
【答】 死球が宣告され、ボールデッドとなり、打者に一塁が与えられる。(8.01d、6.08b)
60【問】 走者がいるとき、投手が反則投球した場合はどう処置されるか。
【答】 ボークが宣告されて、走者に1個の塁が与えられる。ただし、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、塁上のすべての走者が、少なくとも1個の塁を進塁した場合は、プレイはそのまま続けられる。(8.05e、8.05ペナルティ)
61【問】 1アウト走者二・三塁、投手がセットポジションをとり静止しないで投球した。打者がこの投球を打って遊ゴロとなったが、遊撃手がファンブルして何処へも投げなかった。打者は一塁に達し三塁走者も本塁に達したが、二塁走者はそのまま二塁にいた。どう処置されるか。
【答】 打者は一塁に生きたが、二塁走者が進塁しなかったので、ボークが宣告される。三塁走者の得点は認められ、二塁走者は三塁へ、打者は前のカウント(ノーカウント)で打ち直しとなる。(8.05m、8.05ペナルティ)
62【問】 前問で二塁走者が3進した場合はどうなるか。
【答】 打者が一塁に生き、すべての走者が1個進塁したので、ボークとは関係なくプレイはそのまま続けられる。(8.05m、8.05ペナルティ)
63【問】 2アウト走者一・二塁、打者が反則投球を安打して一塁に達し、二塁走者は本塁に達したが、一塁走者は二塁を空過して3進したので、二塁空過をアピールされて3アウトとなった。どう処置されるか。
【答】 塁を空過してアピールでアウトになっても、1個の塁を進んだことになるから、ボークとは関係なくプレイは有効になり攻守交代となる。なお、一塁走者は二塁でのフォースアウトで3アウトとなるから、得点は認められない。(8.05ペナルティ付記2、4.09a付記(2))
ボールを持たない投手
64【問】 走者のいるとき、ボールを持たない投手が投手板に立った。どう処置されるか。
【答】 ボークが宣告される。球を持たないで投手板をまたいでも、投手板を離れて投球するまねをした場合も、ボークが宣告される。(8.05i)
「連盟」では、隠し球のとき、ボールを持たない投手が投手板のすぐ近くでサインを見るような動作をした場合は、隠し球は無効としボークが宣告される。(競技に関する連盟特別規則(各大会共通)8)
故意四球と投手
65【問】 守備側が満塁策をとったとき、片足を捕手席の外に出して立っている捕手に投球した。どう処置されるか。
【答】 投球が投手の手を離れてから捕手席を出ることは差し支えないが、その打者に対して故意の四球が企図されたことが明らかな場合には、投手がボールを離す前に、片足でも捕手席の外に出した場合はボークが課せられる。(8.05-1、4.03a、規則適用上の解釈(14))
ボーク
66【問】 ボークはどのような場合に宣告されるか。また、どのようなペナルティが課せられるか。
【答】 走者のいる場合、投手が反則投球するか、塁への送球その他で規則に違反したとき、ボークが宣告される。(8.01a〜d、8.05a〜m、2.38)
ペナルティ
ボールデッドとなり、走者に1個の安全進塁権が与えられる。ただし、打者が打ったり四球、死球となった場合は、結果によってはペナルティは課せられない。(8.05ペナルティ)
67【問】 走者一塁、投手が軸足を投手板の前にはずした(ボーク)送球が、一塁への悪送球となって、ファウル地域を転々としていたので、一塁走者は二塁を越えて、さらに三塁まで進塁した。このとき、守備側から「一塁塁審がボークを宣告したから3進した走者を二塁にもどすように」と申し出があった。どう処置されるか。
【答】 たとえボークの宣告があっても、一塁走者の三塁進塁は認められる。
ボークのペナルティが通常のプレイより有利になることはない。投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪投・送球(捕手または野手のミスプレイも含む)した場合は、走者はボークによって与えられる塁より更に進めると思われる塁まで進塁することは自由である。
なお、1個の塁まではボークのペナルティは生きているが、1個の塁を越えてからは、ボールインプレイとなってプレイはそのまま続けられる。つまり、1個塁を越えてからプレイがあれば、アウトはアウト、セーフはセーフということである。(8.05ペナルティ付記1)
監督またはコーチ等が投手の所へ行く制限
68【問】 投手が乱調にになったので監督がマウンドまで行ってアドバイスをして戻ったが、投手が四球を連発したので監督が再び投手のところへ行った。差し支えないか。
【答】 同一イニングにその投手のところへ2度行ったので、その投手は自動的に交代させなければならない。なお連盟では、他の守備位置に付くことが許される。(8.06、競技に関する連盟特別規則(各大会共通)9(2))
監督またはコーチ等が、同一イニングに、同一投手のところへ2度行くか、行ったとみなされた場合(伝令を使うか、プレーヤーに指示を与えてそのまま投手のところへ行かせた場合)は、その投手は自動的に交代することになる。なお救援投手の場合は投球義務を終了してから交代することになる。(3.05)
「連盟」では、監督またはコーチ等がプレヤーとして試合に出場している場合は、投手の所へけば野手としての1度と数えるが、協議があまり長引けば、監督またはコーチ等が投手の所へ1度行ったこととして通告する。
なお、監督またはコーチ等が、投手の所へ1度行くか、行ったとみなしたときは、球審は、あと1度行けば交代になる旨を通告する。もし、1度目に通告しなかった場合は、2度目に行こうとしたときその旨を監督に知らせる。(8.06、競技に関する連盟特別規則(各大会共通)9(2))
69【問】 走者のいないとき、投手が反則投球をした。打者は片足をボックスから完全に出して反則打球をした。どう処置したらよいか。
【答】 反則投球と反則打球の二つの規則違反が重なった(どちらもボールデッド)ときは、先に行われた反則投球をとる。したがって、ボールがカウントされ打者は打ち直す。(8.01d、6.06a、2.38)
70【問】 走者がいるとき、投手板についている投手に捕手がブロックサインを出した。それを受けた投手は、うなずいて投球をした。ボークではないか。
【答】 ボークではない。投手がブロックサインを見ただけの場合は、ペナルティはない。(8.05h)
71【問】 前問で、捕手のブロックサインを、投手がブロックサインで受けたときはどうなるか。
【答】 ボークである。また、投手が投手板をはずして同行為をしても、ボークである。(8.05h)
72【問】 野手が投手にブロックサインを出したときは、どうなるか。
【答】 投手が自らブロックサインを出したり、野手からのサインをブロックサインで受け答えをしたときは、ボークとなる。(8.05h)
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