3.00 用具・ユニフォーム
3.01 ボ ー ル
ボールはコルク、ゴムまたはこれに類する材料の小さい芯に糸を巻きつけ、白色の馬皮または牛皮2片でこれを包み、頑丈に縫い合わせて作る。重量は5㌉ないし5¼㌉(141.7㌘〜148.8㌘)、周囲は9㌅ないし9¼㌅(22.9㌢〜23.5㌢)とする。
【注1】 我が国では牛皮のものを用いる。
【軟式注】 軟式野球ボールは、外周はゴム製で、M号、J号、D号、H号の4種類がある。M号は一般用、J号、D号は少年用のいずれも中空ボールで、H号は一般用の充填物の入ったボールである。
ボールの標準は次のとおりである。(反発は150㌢の高さから大理石板に落として測る。M号、J号の20%圧縮荷重は、ボール直径の20%をつぶしたときの力を測る。)
直 径 重 量 反 発 20%圧縮荷重
M号 71.5㍉〜72.5㍉ 136.2㌘〜139.8㌘ 70㌢〜90㌢ 32㌕〜40㌕
J号 68.5㍉〜69.5㍉ 127.2㌘〜130.8㌘ 60㌢〜80㌢ 27㌕〜37㌕
D号 64.0㍉〜65.0㍉ 105.0㌘〜110.0㌘ 65㌢〜85㌢
H号 71.5㍉〜72,5㍉ 141.2㌘〜144.8㌘ 50㌢〜70㌢
プレーヤーが、土、ロジン、パラフィン、甘草、サンドペーパー、エメリーペーパー、その他のもので、ボールを故意に汚すことは禁じられる。
ペナルティ
審判員は、そのボールの返還を求め、反則した者を試合から除く。さらに、反則者は自動的に以後10試合の出場停止となる。ボールを傷つけた投手に関しては6.02(c)(2)〜(6)、6.02(d)参照。
【注2】 アマチュア野球では、このペナルティを適用せず、審判員が、その反則者に注意して、そのボールの返還を求めるにとどめるが、その後も、故意に同様の行為をくり返した場合には、試合から除く。
【原注】 ボールが試合中、部分的にはがれた場合には、そのプレイが完了するまで、ボールインプレイの状態は続く。
3.02 バ ッ ト
(a) バットはなめらかな円い棒であり、太さはその最も太い部分の直径が2.61㌅(6.6㌢)以下、長さは42㌅(106.7㌢)以下であることが必要である。バットは1本の木材で作られるべきである。
【付記】 接合バットまたは試作中のバットは、製造業者がその製造の意図と方法とについて、規則委員会の承認を得るまで、プロフェッショナル野球(公式試合および非公式試合)では使用できない。
【注1】 我が国のプロ野球では、金属製バット、木片の接合バット及び竹の接合バットは、コミッショナーの許可があるまで使用できない。
【注2】 アマチュア野球では、各連盟が公認すれば、金属製バット、木片の接合バット及び竹の接合バットの使用を認める。ただし、接合バットについては、バット内部を加工したものは認めない。(6.03a4参照)
【注3】 アマチュア野球では、金属製バットを次のとおり規定する。
@ 最大径の制限--バットの最大直径は、67㍉未満とする。
A 質量の制限--バットの質量は、900㌘以上とする。なお、金属製バットの質量とは完成品であり、ヘッドキャップ(一体成形等により、ヘッドキャップを用いていないものにあっては、それと同等の部位)、グリップエンドノブ、グリップテープを除いた本体の質量は、810㌘±10㌘以上とする。
B 形状の制限--金属製バットの形状は、先端からグリップ部までは、なだらかな傾斜でなければならない。
なお、なだらかな傾斜とは、打球部からグリップ部までの外径の収縮率(全体傾斜率)が、10%を超えないことをいう。
また、テーパ部の任意の個所においても、50㍉の間での外径収縮率(最大傾斜率)は、20%を超えないことをいう。
【軟式注】 軟式野球では、この規定を適用しない。
(b) カップバット(先端をえぐったバット)
バットの先端をえぐるときには、深さ1¼㌅(3.2㌢)以内、直径1㌅以上2㌅(5.1㌢)以内で、しかもそのくぼみの断面は、椀状にカーブしていなければならない。なお、この際、直角にえぐったり、異物を付着させてはならない。
(C) バットの握りの部分(端から18㌅(45.7㌢))には、何らかの物質を付着したり、ザラザラにして握りやすくすることは許されるが、18㌅の制限を超えてまで細工したバットを試合に使用することは禁じられる。
【付記】 審判員は、打者の使用したバットが、打者の打撃中または打撃終了後に、本項に適合していないことを発見しても、打者にアウトを宣告したり、打者を試合から除いたりする理由としてはならない。
【原注】 パインタールが18㌅の制限を超えて付着していた場合は、審判員は、自らの判断や相手チームからの異議があれば、バットの交換を命じる。制限を超えた部分のパインタールが取り除かれた場合だけ、打者はその試合でそのバットを使用することができる。
バットの使用以前に指摘がなければ、本項に適合していないバットによるプレイはすべて有効である。
(d) プロフェッショナル野球では、規則委員会の許可がなければ、着色バットは使用できない。
【注1】 我が国のプロ野球では、着色バットの色については別に定める規定に従う。
【注2】 アマチュア野球では、所属する連盟、協会の規定に従う。
3.03 ユニフォーム
(a) 同一チームの各プレーヤーは、同色、同形、同意匠のユニフォームを着用し、そのユニフォームには6㌅(15.2㌢)以上の大きさの背番号をつけなければならない。
(b) アンダーシャツは外から見える部分は、同一チームの各プレーヤー全員が同じ色でなければならない。
投手以外の各プレーヤーは、アンダーシャツの袖に番号、文字、記章などをつけることができる。
(c) 自チームの他のプレーヤーと異なるユニフォームを着たプレーヤーは試合には参加できない。
【注】 各プレーヤーはコートを着て競技にたずさわることはできない。ただし、ベースコーチと走者となった投手を除く。
(d) リーグは次のことを規定する。
(1) 各チームは、常に独自のユニフォームを着なければならない。
(2) 各チームは、ホームゲーム用として白色、ロードゲーム用として色物の生地を用いて作った2組のユニフォームを用意しなければならない。
【注】 アマチュア野球では、必ずしもホームチームのときは白色、ビジティングチームのときは色物のユニフォームを着なくてもよい。
(e) 各プレーヤーのユニフォームの袖の長さは、各人によって異なっていてもよいが、各自の両袖の長さは、ほぼ同一にしなければならない。
各プレーヤーは、その袖がボロボロになったり、切れたり、裂けたりしたユニフォームおよびアンダーシャツを着てはならない。
(f) 各プレーヤーは、そのユニフォームの色と異なった色のテープまたはその他のものを、ユニフォームにつけることはできない。
(g) ユニフォームには、野球用ボールをかたどったり、連想させるような模様をつけてはならない。
(h) ガラスのボタンやピカピカした金属を、ユニフォームにつけることはできない。
(i) 靴のかかとやつま先には、普通使われている部品以外のものをつけてはならない。ゴルフシューズ、または陸上競技用シューズに使われているスパイクに類似した、先のとがったスパイクをつけたシューズは使用できない。
(j) ユニフォームのいかなる部分にも、宣伝、広告に類する布切れまたは図案をつけてはならない。
【注1】 我が国のプロ野球では、本項を適用しない。
【注2】 アマチュア野球では、所属する連盟、協会の規定に従う。
(k) リーグは、所属するチームのユニフォームの背中にプレーヤーの名前をつけるように規定することができる。プレーヤーの姓以外の他の名前をつける場合は、リーグ会長の承認を必要とする。名前をつけることが決定した場合は、チーム全員のユニフォームにつけなければならない。
【注】 アマチュア野球では、所属する連盟、協会の規定に従う。
3.04 捕手のミット
捕手の皮製ミットの重量には制限がない。その大きさは、しめひも、皮のバンドまたはミットの外縁につけられているふちどりも含めて外周で38㌅(96.5㌢)以下、ミットの先端から下端までは15½㌅(39.4㌢)以下でなければならない。ミットの親指の部分と人さし指の部分との間隔は、その先端で6㌅(15.2㌢)以下、親指の叉状の部分で4㌅(10.2㌢)以下でなければならない。
親指と人さし指との間にある網は、両指の先端をつなぐ部分の長さは7㌅(17.8㌢)以下、先端から親指の叉状の部分までの長さは6㌅以下に作る。網はひもで編んだものでも、皮革で被覆したひもで編んだものでも、または、手のひらの部分の延長となるように皮革をひもでミットに結びつけたものでもよいが、前記の寸法を超えてはならない。
3.05 一塁手のグラブ
一塁手の革製グラブまたはミットの重量には制限がない。その大きさは、縦が先端から下端まで13㌅(33.0㌢)以下、親指の叉状の部分からミットの外縁まで測った手のひらの幅が8㌅(20.3㌢)以下、ミットの親指の部分と人さし指の部分との間隔は、ミットの先端で4㌅(10.2㌢)以下、親指の叉状の部分で3½㌅(8.9㌢)以下でなければならない。この間隔は一定に保ち、皮以外のものを用いたり、特殊な方法で間隔を大きくしたり、伸ばしたり広げたり、深くすることは許されない。
親指と人さし指との間にある網は、その先端から親指の叉状の部分まで長さが5㌅(12.7㌢)以下になるように作る。網はひもで編んだものでも、革で被覆したひもで編んだものでも、または、手のひらの部分の延長となるような革をひもでミットに結びつけたものでもよいが、前記の寸法を超えてはならない。しかし、網のひもに革以外のものを巻きつけたり、ひもを革以外のもので包んだり、または網を深くしてわな(トラップ)のようなあみ形にすることは許されない。
3.06 野手のグラブ
捕手以外の野手の革製グラブの重量には制限がない。グラブの寸法を測るには、計測具または巻尺をグラブの前面またはボールをつかむ側に接触させ、外形をたどるようにする。その大きさは、縦が4本の指の各先端から、ボールが入る個所を通ってグラブの下端まで13㌅(33.0㌢)以下、手のひらの幅は、人さし指の下端の内側の縫い目から、各指の下端を通って小指外側の縁まで7¾㌅(19.7㌢)以下である。
親指と人さし指との間、いわゆる叉状の部分(クロッチ)に革の網または壁形の革製品を取りつけてもよい。網はクロッチをぴったりふさぐように2枚の普通の革を重ね合わせて作っても、トンネル型の革や長方形の革をつなぎ合わせて作っても、または革ひもを編んだもので作ってもよいが、わな(トラップ)のようなあみ形にするために革以外のものを巻きつけたり、革以外のもので包むことは許されない。網がクロッチをきっちりふさいだとき、網は柔軟性があってもさしつかえない。数個の部品をつなぎ合わせて網を作るにあたって、それぞれをぴったりとくっつけなければならない。しかし、部品をわん曲させてくぼみを大きくさせてはならない。網はクロッチの大きさを常に制御できるように作らなければならない。
クロッチの大きさは、その先端の幅が4½㌅(11.4㌢)以下、深さが5¾㌅(14.6㌢)以下、下端の幅が3½㌅(8.9㌢)以下である。網はクロッチの上下左右どの部分にでも、きっちりと取りつけられていなければならない。革のしめひもで結びつけられたものは、しっかりとつなぎ合わされ、伸びたりゆるんだりしたときには、正常の状態に戻さなければならない。
3.07 投手のグラブ
(a) 投手のグラブは、縁取りを除き白色、灰色以外のものでなければならない。審判員の判断によるが、どんな方法であっても幻惑させるものであってはならない。
守備位置に関係なく、野手はPANTONEの色基準14番よりうすい色のグラブを使用することはできない。
【注】 アマチュア野球では、投手のグラブについては、縁取り、しめひも、縫い糸を除くグラブ本体(捕球面、背面、網)は1色でなければならない。
(b) 投手は、そのグラブの色と異なった色のものを、グラブにつけることはできない。
(c) 球審は、自らの判断または他の審判員の助言があれば、あるいは相手チームの監督からの異議に球審が同意すれば、本来(a)または(b)項に違反しているグラブを取り替えさせる。
3.08 ヘルメット
プロフェッショナルリーグでは、ヘルメットの使用について、次のような規則を採用しなければならない。
(a) プレーヤーは、打撃時間中および走者として塁に出ているときは、必ず野球用ヘルメットをかぶらなければならない。
(b) マイナーリーグのプレーヤーは、打撃に際して両耳フラップヘルメットを着用しなければならない。
(c) メジャーリーグのプレーヤーは、片耳フラップヘルメット(プレーヤーが両耳フラップヘルメットを選んでもよい)を着用しなければならない。
【注】 アマチュア野球では、所属する連盟、協会の規定に従う。
(d) 捕手が守備についているときは、捕手の防護用のヘルメットを着用しなければならない。
(e) ベースコーチは、コーチスボックスにいるときには、防護用のヘルメットを着用しなければならない。
(f) バットボーイ、ボールボーイまたはバットガール、ボールガールは、その仕事にたずさわっているときは、防護用の両耳フラップヘルメットを着用しなければならない。
【3.08原注】 審判員は各項に対する規則違反を認めた場合には、これを是正するように命じる。審判員の判断で、適宜な時間がたっても是正されない場合には、違反者を試合から除くことができる。
3.09 商業的宣伝
ベース、投手板、ボール、バット、ユニフォーム、ミット、グラブ、ヘルメットその他本規則の各条項に規定された競技用具には、それらの製品のための不適当かつ過度な商業的宣伝が含まれていてはならない。
製造業者によって、これらの用具にいるされる意匠、図案、商標、記号活字および用具の商品名などは、その大きさおよび内容において妥当とされる範囲のものでなければならない。
本条は、プロフェッショナルリーグだけに適用される。
【付記】 製造業者が、プロフェッショナルリーグ用の競技用具に、きわだった新しい変更を企図するときには、その製造に先立ちプロ野球規則委員会にその変更を提示して同意を求めなければならない。
【注1】 製造業者には、販売業者を含む。
【注2】 製造業者(販売業者を含む)以外のものの宣伝は、いずれの競技用具にも一切つけてはならない。
【注3】 @ バットの表面の焼印などの内容およびサイズなどは後記の範囲内にとどめなければならない。
バットの先端部分には、バットモデルと、バットの品名、品番、材種のみを表示するものとし、マーク類は表示できない。
なお、これらの表示については、レーザー照射による文字入れを認める。
これらの表示は、バットの長さに沿って、縦5㌢以下、横9.5㌢以下の範囲内におさめ、文字の大きさは、それぞれ縦2㌢以下、横2㌢以下でなければならない。
握りに近い部分には、製造業者または製造委託者の名称を含む商標を表示するものとし、これらの表示は、バットの長さに沿って、縦6.5㌢以下、横12.5㌢以下の範囲内におさめなければならない。
前記商標などは、すべてバットの同一面に表示しなければならない。
A ユニフォーム(帽子、ストッキングを含む)、ベルト、ソックス、アンダーシャツ、ウィンドブレーカー、ジャンパー、ヘルメットの表面のいかなる部分にも商標などの表示をすることはできない。
B ミットまたはグラブに表示する商標は、布片、刺繍または野球規則委員会の承認を受けた樹脂製の成型物によるものとし、これを表示する個所は背帯あるいは背帯に近い部分、または親指のつけ根の部分のうちいずれか1カ所に限定し、その大きさは縦4㌢以下、横7㌢以下でなければならない。
マーク類を布片、刺繍または樹脂製の成型物によって表示する場合(エナメル素材のように光る素材での表示は認められない)は、親指のつけ根に近い個所に限定し、その大きさは、縦3.5㌢、横3.5㌢以下でなければならない。
投手用グラブに商標およびマーク類を布片または刺繍によって表示する場合、その色は、文字の色を含み、すべて白色または灰色以外の色でなければならない。ただし、野球規則委員会が特に認めた場合は、この限りではない。
品名、品番、マーク類などスタンプによって表示する場合の色は、黒色または焼印の自然色でなければならない。
C 手袋およびリストバンドに商標などを表示する場合は、1カ所に限定し、その大きさは14平方㌢以下でなければならない。
D 以上の用具以外の用具のコマーシャリゼーションについては、本条の趣旨に従い、野球規則委員会がその都度、その適否を判断する。
【注4】 本条は、アマチュア野球でも適用することとし、所属する連盟、協会の規定に従う。
3.10 競技場内の用具
(a) 攻撃側プレーヤーは、自チームの攻撃中には、グラブ、その他の用具を競技場内からダッグアウトに持ち帰らなければならない。フェア地域とファウル地域とを問わず、競技場内には何物も残しておいてはならない。
(b) シフトを取るために、野手の守備位置を示す、いかなる印も競技場内につけてはならない。
目次に戻る
次 頁